たくさんの出会いポコ・フォルテ

August 12, 2014

トッパンホール ランチタイムコンサート

飛び回っていた日々が一段落、
8月3日からは東京にしっかりと腰を据えて、ブラームスにどっぷり浸かる一週間でした。

8月9日(土)トッパンホールのランチタイムコンサートに向けて、
ホールでの計3日間(間に個人練習の日も入るので期間としては一週間)にわたるリハーサル。

ヴィオラの原麻理子ちゃん以外は初共演、ということで、少しドキドキしながら初日のリハーサルへ。

第1ヴァイオリン山根一仁くんは、先日同じトッパンホールでの無伴奏リサイタルを聴かせていただき、
音楽に対する鋭い切り口と、曲ごとに会場全体の雰囲気を次々変化させてしまう凄まじい集中力に驚愕。

チェロの上野通明くんも、以前コンクールでの演奏を、つい先日はドヴォコンを聴かせていただいて、
その大人びた深い音色と、何事にも動じなさそうな、たっぷりと、朗々とした演奏にチェロならではの魅力を引き出す力を感じました。
この二人は今年桐朋の高校を卒業したばかり。
まだ10代の若者なのです。

第2ヴァイオリンの瀧村依里ちゃんは、ずいぶん前に室内楽のコンサートを聴き、
やわらかな音色と、周りを気にかけつつもしっかりと音楽を引っ張っていく演奏に惹かれ、
いつか共演できたらとずっと思っていました♪

・・・と初めての人ばかりの中、
ヴィオラの原麻理子ちゃんは昨年ピアノ四重奏で共演していて、
のびのびとした演奏、変幻自在な音色、推進力のある音楽で、心から信頼のおける共演者。
是非このメンバーで!という私とホールとのラブコールに応えてドイツから参加してくれました。

ブラームスの室内楽曲の中でも特に巨大な印象であるピアノ五重奏曲。。。
各楽器ソナタも、ピアノ三重奏も、ピアノ四重奏も複数書いているのに、
ピアノ五重奏だけはこの一曲のみ。
演奏する者にとってもどこか“特別”なイメージがあります。

弾く前は「ブラームスって苦手で…」とか「この楽章よくわからない…」などとぼやいていたメンバーですが、笑
いざ音を出してみるとそんなことはどこへやら。
それぞれの歌がありつつも、ハーモニーが調和する瞬間が随所にあり、
なにより、それぞれの個性溢れる5つの音色が、なんとも絶妙に混ざり合って独特の音色が生まれる感触がありました。
私がいつも「ここはもっとピアノと弦が混ざり合いたい!」と思っていた箇所が、第1回目のいわゆる試し弾きの段階ですでに混ざり合っていたことには驚きと同時に感動を覚えました。。。

そこから怒濤のリハーサル。
ひとつの楽章にじっくり時間をかけて取り組み、
一日では全楽章やりきれないほどの緻密さ。
そんなリハーサルを2日目、3日目と重ねるうちにどんどん5人の音楽が近づいていくのを感じました。
なにより10代の男の子2名の変化はすごかった。

そしてこの5人の絶妙なキャラクター。
依里ちゃんはかわいい声ですごく的確な意見を次々と。
ハラマリちゃんはその天真爛漫なキャラクターで皆を笑わせたかと思ったら、誰も考えつかないような意見を出して全体の演奏をガラッと変えたり。
山根くんと上野くんのやりとりもとっても微笑ましく、
私はなぜか“女王”キャラになり…笑
とにかく初日からとても良い空気が出来上がり、
1日目終わりに皆でご飯に行ったときには、
リハーサルにずっと立ち会ってくださったトッパンホールの西巻さんも含め、家族のような和気藹々感が。。。

家族写真?!笑 ↓

2014-08-04-20-08-37


2日目は(数人欠けたけど)山根くんおすすめのラーメン、
3日目は池袋の美味し〜いトンカツ
と連日しっかり栄養も摂りつつ、笑
9日の本番までしっかりと、本当に綿密なリハーサルを行いました。
「ただ弾いている」箇所が一ヶ所も無いように、
ブラームスの想いを探ったり、
もっと効果的な音の出し方があるのではと色々試したり、
テンポやリズムの捉え方を変えてみたり、
皆が意見を出し合って、
まるでひとつの大きな建築物を造るかのような作業。

そして迎えた本番。
あんなに色々試したのに、
ステージ上でさらなる変化を遂げ、
リハーサルでは聴いたことの無かったような素晴らしい音色や表現が沢山生まれました。
私もいつも本番の舞台上で降りてくる何かを捉えて、それまで思いつかなかったようなことを突然やってみたりするのですが、
今回は5人が5人ともそういうタイプだったみたい?!
弾きながら本当にたくさんのインスピレーションを受け、
音で会話をしながら、
気づくと残り数ページ・・・。
もうすぐ終わってしまうのが残念でなりませんでした。
あっという間の45分間。

偉大な作品に真剣に向き合った一週間でした。

アンコールには、ブラームスと同じ時期に活躍したチェコの作曲家ドヴォルジャークのピアノ五重奏曲第2番より、第3楽章を。
濃厚なブラームスの後、多少は足取り軽くお帰りいただけたかな?などと思いつつ。。。

ご来場くださった皆様、どうもありがとうございました。
舞台上のインスピレーションというのは、会場の雰囲気やお客様の空気によって大きく違うもので、
今回こんなに色々感じられたのは、お客様が真剣に、一生懸命聴いてくださっていたからだと思います。

そして、いつも自然体なのにしっかりと仕事をこなしてくださり、演奏だけに集中できる環境を作ってくださるトッパンホールの皆様、
長いリハーサルに立ち会って、5人を厳しく、温かく導いてくださり、音楽に対する情熱と、“さらに深く切り込んでいく”精神を教えてくださったプロデューサーの西巻さんに、
心から感謝申し上げます。

またこのメンバーで演奏できたらいいね!と、打ち上げでは次回のプログラムも考えてみたり・・・?!
和気藹々の雰囲気はそのままに、
それぞれが成長して次回を迎えられるといいな。
共演のみんな、素晴らしい時間を共有できたこと、本当に幸せに思います。
どうもありがとう☆
また皆で集まれる時を楽しみに。。。♪

2014-08-09-19-51-00




m-18_35201 at 00:41│Comments(0)

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